妊婦健診
ご妊娠おめでとうございます。
当院スタッフ一同、心よりお祝い申し上げます。
妊婦健診、赤ちゃんが元気かを確認するだけではなく、お母さんの健康状態の確認も行います。妊娠=病気ではありませんが、妊娠すると身体には様々な変化が起きます。
ツワリが起きたり、血圧が急激に上がったりすることもあります。
妊娠期間を通して健康に過ごし、無事元気なお子さんを出産するために受ける必要があります。これから当院スタッフ一同、健やかな妊娠生活がおくれるようサポート致します。
妊婦初期(妊娠が判明してから予定日が決まるまで)
毎回、超音波による検査を行います。
- 胎嚢確認〜心拍の確認まで:1週間ごと
- 心拍が確認〜12週まで:2週間ごと
※妊娠8週前後で分娩予定を決定します。不妊治療で妊娠された方は、排卵日、胚移植日より決定しています。
予定日が決まったら
母子手帳を受け取り、妊婦健診を開始します。
母子手帳は、健康推進課各健康支援センター、健康推進課健康係、区民事務所で妊娠の届出を行うことで受け取ることができます。母子手帳と一緒に補助券を受け取ります。
毎回の健診で使用しますので、来院前に住所、お名前、電話番号、生年月日、年齢、初産・経産の別、出産予定日の欄を事前に記載しお持ちください。
補助券は当日中にお持ち頂けない場合、自費診療となりますのでご注意ください。
当院での妊婦健診の流れは以下の通りになります。
- 院内に入ったらまず受付を済ませてください。QRコード受付です。
母子手帳、補助券を受付へご提出ください。
紹介状をお持ちの場合は、必ず受付にお渡しください。
初診の方は問診票がございますので記載し受付へご提出ください。
再診の方も気になることがあれば、再診用の問診用紙がありますので記載し受付へご提出ください。 - 検尿(お名前の入った採尿カップを受付よりお渡します。)
採尿後、トイレに採尿コップを入れるボックスがありますのでそちらにご提出ください。
※採尿が終わったことを受付スタッフにお知らせください。 - 血圧測定を行なってください。血圧の紙が印刷されますので診察室へお持ちください。
- 順番で診察室(内診室)へお呼びします。超音波検査と体重測定を行います。
- 診察後、医師とお話します。現在の状況、今後の方針などお話します。
- 診察終了後、受付近くの待合でお待ちください。
確認が終わりましたら、受付よりお呼びしますので、診察券のQRコードを使用し自動精算機で会計を済ませ、ご帰宅となります。
※お薬の処方がある方は、会計前に受付より処方内容の種類・日数など確認がある場合がございます。会計前に必ずご自身でもご確認ください。
妊婦健診の週数ごとの内容・検査など
- 妊娠5〜6週:胎嚢(赤ちゃんのお部屋)の確認ができます。
- 妊娠6〜7週:赤ちゃんの心拍が確認できるようになります。
- 妊娠8〜10週:分娩予定日が決定します。
妊婦健診のスケジュール(10週前後でスタートします)
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10週前後:
妊娠初期採血(必須検査となります。)
血算、血糖値、血液型、HbA1c、風疹HI抗体価、HTLV-1検査、トキソプラズマIgG・IgM抗体、感染症(梅毒血清反応、B型肝炎ウィルス抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体)
クアトロ検査(母体血清マーカー)
採血にて21トリソミー、18トリソミー、開放性神経管奇形、という3種類の先天性疾病や、染色体異常の確率を検査します。またクアトロテストは結果が数値で報告されます。受精した年齢と合わせて確率を計算します。
NIPT検査(新型出生前診断)
※院長は、日本産科婦人科臨床遺伝学会の認定資格を有しておりますが、NIPTは認定施設における検査であるため現在施設認定を申請中です。大変申し訳ございませんが、今しばらくお待ちください。
- 12週前後:赤ちゃんの形がはっきり見えてきます。動いている様子が分かります。
- 16週前後:赤ちゃんの向きによっては性別が分かります。
- 20週前後:子宮頸管長のチェックを行い、早産リスクがないかチェックします。また貧血、血糖値の採血を行います。
- 24〜26週:胎児スクリーニングを行います。(頭部、心臓、脊椎、腎臓、膀胱、腸管、羊水量などの評価を行います。)この時期、赤ちゃんの表情がわかるようになります。
- 26〜28週:血算、血糖値の採血を行います。子宮頸管のチェック、胎盤位置の評価を行います。
- 28〜30週:通常の健診を行います。また胎児スクリーニングで再評価を行うこともあります。
- 30〜32週:当院での最後の健診となります。分娩先への紹介状をお渡しします。
妊娠中に起こりうる疾患について
妊娠悪阻(ツワリ)
原因は不明です。個人差はありますが、吐き気が続きなかなか食事が摂取できない時期があります。悪阻は妊婦さんにとっては非常に辛い疾患です。
以前は我慢することが当たり前と言われてきましたが、現在では、栄養状態不良で重大な疾患につながることも分かっています。ビタミンB6や、漢方薬が効果あると言われていますが、水分が十分に摂取できない時は、点滴治療が必要となるケースもあります。
お気軽にスタッフにお声がけください。
切迫流産
妊娠22週0日未満で流産に至る可能性がある場合のことを言います。
主に出血を伴います。子宮頸管長の評価や、出血・帯下の状態をチェックします。
頻回な腹痛や生理痛のような痛み、出血がある場合はお声がけください。
切迫早産
妊娠22週0日〜36週6日までに早産に至る可能性がある状態を言います。
切迫早産の原因は、感染による絨毛膜羊膜炎、破水などがあります。
主に腹痛と出血を伴いますが、稀におりものが増えることで発見されることもあります。
切迫早産のリスクのある方は、早産の既往のある方、BMI18未満の方、子宮手術の既往のある方と言われています。スクリーニングで子宮頸管長のチェックを行いますが、24週までに頸管長が25mm以下の方は早産に至るリスクが高いと言われています。
治療法は、子宮収縮抑制薬を使用することがありましたが、現在では早産率を改善するデータは乏しく処方はしない施設が増えてきました。早産のリスク評価を行い、分娩施設と相談した上で健診を行なっていきます。
妊娠高血圧症候群
妊娠時に高血圧を発症した場合、妊娠高血圧症候群といいます。以前は妊娠中毒症と言われていました。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類されます。妊娠高血圧症候群は高齢妊娠に伴い増加傾向です。収縮期血圧が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧が90mmHg以上になった場合、高血圧と言います。
重症化すると、けいれん発作、脳出血、肝障害や腎障害を引き起こすことがあります。また胎盤の状態が悪くなり、胎児発育不全や胎児機能不全(赤ちゃんが元気がなくなること)、常位胎盤早期剥離(胎盤が急に子宮から剥がれてしまう状態)などを起こすことがあります。
治療は妊娠の終了となります。妊娠週数と赤ちゃんの発育を考慮し、出産の時期を決めなくてはいけない場合もあります。妊娠高血圧症候群ではお母さんと赤ちゃん共に大変危険な状態となることがあります。早期発見には、体重管理、血圧、尿蛋白のチェックが必須となります。頭痛症状や目がチカチカするなどの症状がありましたら、早めにご相談ください。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病は、妊娠中のみ糖尿病となる状態です。
全妊娠の12%程度が妊娠糖尿病と言われています。
リスクとして、糖尿病の家系の方、前回妊娠が妊娠糖尿病であった方、非妊娠時にBMI25以上の方などです。
尿糖が持続した場合、採血検査で血糖値が100mg/dl以上の場合に、75gOGTT糖負荷試験(炭酸の糖水を飲んでいただきます。)という検査を行います。
この検査は、検査当日に朝食抜きで来院していただき、来院後にすぐ採血し、糖水摂取後1時間後、2時間後と合計3回血糖を測定します。
1回目92mg/dl以上、2回目180mg/dl以上、3回目153mg/dl以上といずれか一つでも超えると妊娠糖尿病と診断がつきます。
治療法は、食事療法、運動療法(摂取カロリーと消費カロリーのバランス)があり、インスリン注射が必要となることもあります。