流産手術
妊娠したのにもかかわらす、お腹の中で赤ちゃんの成長が止まってしまい、亡くなってしまうことを流産と言います。残念ながら妊娠することができても15%の方が流産となります。妊娠初期までに流産となるケースが80%と大部分を占めます。
流産と診断がついた場合、出血が始まり、自然に排出されることもあります。
しかし70%程度の方は、なかなか自然排出されず、少量の出血が持続し、また排出されても妊娠組織が一部遺残し、次の妊娠にすぐにつなげられない場合があります。
出血の持続や、いつ排出されるか不安な方も多くいらっしゃいますのでここ最近は積極的に流産処置を施行する施設が増えています。当院では、日本産科婦人科学会専門医による日帰り流産手術を行なっています。
稽留流産とは
胎児の死亡は確認、もしくは胎児が見えるまで成長しきれない状態(枯死卵)の状態で、出血などがなく、子宮内にとどまっている状態を言います。
稽留流産の診断
経膣超音波にて診断致します。妊娠5週頃に子宮内に胎嚢(赤ちゃんのお部屋)を確認できます。しかし、その後2週間ほど経過しても成長が止見られない場合や胎児心拍が確認できない場合、胎児心拍後に亡くなってしまう場合に診断となります。1回の診察でははっきりわからない場合もあるため、その場合は1週間程期間をあけて再度診察致します。
手術前の検査
血算、血液型、B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV、生化学検査の採血を行います。
流産手術・方法(吸引法)
当院では吸引法による手術を行っています。
子宮内腔に細いプラスチックの管を挿入し陰圧をかけることで、吸引する方法です。
従来の掻爬手術は、子宮内腔を損傷し不妊の原因となったりするため、現在では吸引法による処置が一般的です。1回の処置で遺残するリスクや痛みも少なく、安全性の高い方法と言われています。
手術の麻酔方法
⑴ 子宮頸管ブロック
→子宮頸部に局所麻酔薬を注射し、痛みを軽減する方法です。
⑵ 静脈麻酔
→点滴より一時的に眠くなる麻酔薬を投与します。
※麻酔方法は併用する場合もあります。
麻酔中は、血中酸素濃度の測定をするため、指にパルスオキシメータを装着し呼吸状態を管理します。
〜手術までの流れ〜
- 経腟超音波にて診断します。
- 手術適応と判断したら、医師より手術について説明し同意書をお渡しします。
- 手術日程を調整します。
- 手術を行うのに必要な採血検査を行います。
- 会計を行い、帰宅となります。
〜手術当日の流れ〜
- 禁食で来院してください。少量のクリアウォーターは飲んでも構いません。朝お薬の内服がある方は必ず内服してください。
- 当日、朝10時来院となります。同意書を必ず持参ください。
- 術前処置(子宮頸管拡張)を行うことがあります。
- 静脈麻酔をかけるため点滴を留置します。
- 麻酔をかけて手術を行います。手術時間は10分程度です。
- 術後、1時間程休んでいただき退院診察を行い今後の流れの説明を致します。
- 2週間後に再診察となります。大事な検査のため必ずご来院ください。今後の方針を説明致します。
〜手術後の生活・注意点〜
- 手術当日はご自宅でゆっくり過ごしてください。当日は湯船につからずシャワーのみとしてください。出血が完全に止まったら湯船につかってください。
- 手術翌日から通常の生活に戻してください。
- 出血は個人差がありますが、14日ほど続く場合があります。
- アルコールの摂取や、強度の強い運動は術後1週間後ほど控えてください。
- 子宮内に出血が溜まるため痛みが出ることがあります。痛み止めを内服してください。
- 生理2日目のような出血が持続する場合や、強い下腹部痛の持続また38度以上の発熱を伴う症状などがありましたら御連絡ください。
術後の診察・方針
2週間後の再診で診察しお話しします。術後生理が再開したら、排卵するようになるので、妊活を行なっていただいても構いません。
生理は個人差はありますが、術後30日〜50日で再開します。50日後も生理が再開しない場合はご相談ください。
流産は繰り返すこともあります。年齢が原因であることが最も多いですが、3回以上流産を繰り返す場合は、一度不育症の検査をご考慮ください。